砂久ヤタロウさんのアルバム「Z」を聴いて
OKMでも活動していた砂久ヤタロウさんから「D←records」という自主レーベルを立ち上げたとの連絡を頂き、早速アルバムを送って頂きました。活動形態が自主レーベルというのも、いかにもヤタロウさんらしいなぁと妙に納得してしまいました。というのも、ヤタロウさんの作品は、1曲1曲ばら売りするような昨今の音楽市場には相容れない奥深い世界感と表現の幅の広さを持っているからです。
この「Z」というアルバムは、ゾンビ(ZombieのZ)をモチーフに物語が進んでいく完全なコンセプトアルバムです。
ゾンビというおどろおどろしい象徴の先入観、「Zの~」で統一された曲名、全70分という長丁場、あたかも最初の段階で聴く者を選んでいるかのようなとっつきにくさ。そういった佇まいがいかにもヤタロウさんらしいなぁと笑みがこぼれてしまいます。
しかしながら、一歩踏み出す前のとっつきにくさに反して、この作品は、終始ポップです。ヤタロウさん流の捻くれたポップと言いましょうか、ロック的なアプローチ、奇想天外な展開など、多彩な方法論を駆使していますが、メロディ、歌唱、演奏、どれをとっても心地がよく、爽快感を感じることができます。
また、バラエティー豊かなアレンジが詰まっているにもかかわらず、計算しすぎない偶発性を大切にしているかのような自由さがあります。そして、込められたメッセージには、押しつけがましさや説明的なものは微塵もなく、好きに解釈していいよといった自由さがあります。そういった演者リスナー双方の自由さに、爽快感を感じてしまうのだと思います。
本人は口には出さないが、相当な自信作なのではないかと想像してしまいます。
※噛めば噛むほど味が出てくるこのアルバム¥1500です。
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