2019年を振り返る。

 今年一番大きな出来事としては、やはり3月のOKMUSICの閉鎖が挙げられます。新曲を投稿するときはOKMUSICと決めていて、それを丸5年も続けてきたこともあり、曲の完成から新曲の投稿、といった自分のルーティンが機能しなくなったことがすごく残念です。閉鎖要因について、カバー曲の増加やラジオ風(おしゃべり)投稿などを挙げる人もいましたが、規定に則った投稿であるので、それを責めることはできない。

 OKMUSICに限らず、ここ数年、アマチュア音楽投稿サイトの閉鎖、有料化が目立ってきました。MUZIEは、名前を変えて配信有料化になったし、SOUNDCLOUDも、先日、投稿数が15曲を超えた場合の有料化が決まりました。これは利用者の猛反対によりすぐに撤回となりましたが、経営状態が良くないことは疑う余地のないことです。

 要因としては、ネット上で音楽を発表するアマチュアミュージシャン(以下、ネットミュージシャン)の数自体が減ったということもあるでしょうし、サイト側が、一般リスナーや広告媒体などを巻き込んで収益を上げていく方法を見つけることができなかったということもあるでしょう。サイト側が、在籍するネットミュージシャンからお金を取るようになる(有料化)ということは、外部からの収益確保の万策が尽きた証左と言えるのです。

 今後もこういった傾向は改善されることはないように思えます。ですので、ネットミュージシャンは、あるサイトに自分の作品を投稿したとしても、常にサイトの弱体化の波にもまれ、閉鎖、有料化のリスクに怯えることになるのです。

 ネットミュージシャンの作品を聴く人は、大半がネットミュージシャンです。ネットミュージシャンは、自分の作品を聴いてもらいたいがために、他のネットミュージシャンの作品にコメントします。時にはつまらない作品にもコメントすることもあるでしょう。そういった積極的中途半端さが求められるのです。

 自分の物差しを忠実に守り、よくできた作品にしかコメントしないがために、よくできた作品を投稿していてもほとんど聴かれないまま埋もれていく人がいます。一方、誰彼構わずコメントして、つまらない作品を投稿していても多くの再生数やコメントを稼ぐ人がいます。前者の人ばかりになると、作品の質は上がっても、外から入りづらく狭くてマニアックな人しか集まらないサイトになるでしょうし、逆に、後者の人ばかりになると、外から入りやすく人は増えるでしょうが、作品の質よりもコミュニケーションを目的とする人しか集まらないサイトになるでしょう。

 サイトの雰囲気はそこに在籍するネットミュージシャンの性質に依るので、前者か後者か白黒付けてどちらか一方に振れたら良くないのです。適度によくできた作品、適度にコミュニケーション目的、というのが理想的なサイトであり、そういった意味でも積極的中途半端さが求められるのです。現状あるアマチュア音楽投稿サイトは、どこもそういった積極的中途半端さが欠落し、理想的なサイトとは言えないところばかりです。

 結局、ネットミュージシャンが落ち着いて投稿できる場所は、音楽専門のところでは皆無で、サイトの継続性、一般の人にも聴いてもらえる可能性から見ても、YOUTUBEぐらいしかないのかもしれないです。

 そういった状況を踏まえて、今年はYOUTUBEに注目し、自身の休眠状態になっていたチャンネルを復活させ、例年になく動画制作に多くの時間を費やしました。必然的にYOUTUBEに投稿した動画作品の数も増えました。「おしり」「わかりま千円」「みかん」「バーミリオン・キャップ」「豆腐屋のキミ」「かたつむり」「誕生日」「白い夏のクリームソーダ」「ワゴン」、気づけば9作品も作っていました。僕は、作詞作曲をすることが主たる活動なので、動画制作は、その合間の気分転換の位置づけなのですが、裏を返せば、それだけ作詞作曲に煮詰まった時間が多かったと言えます。また、動画制作は、技術的にも経験的にも初心者の部類なので、作詞作曲を始めたての頃と同じように、何を作っても面白く感じる時期だったと言えます。作詞作曲活動に集中して、YOUTUBEにはイラストやジャケ絵を固定したものを発表すればよいのではないか?といった意見もあるでしょうが、作り終えた時の達成感を味わいたい一心で、動画を作らずにはいられないのです。

 新曲の制作については、ここ3年ぐらいは、年に2~3曲のペースと落ち込んでいます。今年も依然としてその流れの中にあり、「健康」「夢見てビューティフル」「秋めく小風に揺れながら」の3曲に終わりました。沢山作品を作っていると、これまでに積み重ねてきた経験や知識の中から、無意識に綺麗にまとめてしまおうとする力が働きます。以前、誰かが僕のある曲に対して、日常に潜む狂気をふわりと包み込んだような曲調とコメントしてくれたことがありましたが、そういった狂気が出ているものは、自分の中でも何か新たな発見や刺激を感じながら作ったものがほとんどです。来年は原点に戻って、そういった感情を思い出しながら作っていきたいと考えています。

マイケル中原 official website

Songwriter/作詞作曲家 60年代のブリティッシュ・ロック、70年代のアメリカン・フォーク、80年代のテクノ・ポップに影響を受けて、映像が浮かんでくる詩、耳に残るメロディ、聴き飽きない個性的な楽曲作りを目指しております。

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